31/05/2026
一度読む価値ありと思います。
昔の大型バイクって、今よりずっと
「怒らせないように乗る」
感覚が強かった気がします。
重い。
パワーがある。
スロットルの出方も荒い。
もちろん、きちんと速度を合わせて、ギアを選んで、荷重を作って、タイミングよく曲げれば、昔の大型でも気持ちよく曲がります。
でも、その“正解の幅”は今よりかなり狭かったように思います。
コーナーに入る前に姿勢を作って、
「せえのっ」
という感じで曲げる。
ラフにアクセルを開ければ、リアが一気にスライドすることもある。
新品タイヤなら、なおさら気をつけないといけない。
昔、お店でFJ1200のタイヤ交換をしたお客様に、
「新品タイヤは滑りやすいので気をつけてくださいね」
とお声かけした直後、お店を出てすぐにハイサイドしてしまい、そのまま再入庫になったこともありました。
もちろん新品タイヤだったことも大きいのですが、それ以上に、当時の大型バイクはパワーの出方がラフでワイルドだったのだと思います。
1996年以前は、大型二輪免許はいわゆる「限定解除」の時代。
多い人では20回、30回と試験場に通って、ようやく大型に乗れるようになったという話もありました。
その後、大型二輪免許が教習所で取得できるようになり、大型バイクへの入口は一気に広がりました。
それ自体は、とても良いことです。
多くの人が大型バイクを楽しめるようになりました。
ただ、その頃の大型バイクはまだ今ほど優しくはありませんでした。
だからこそ、昔の100馬力規制にも、今振り返ると一定の現実味があったのではないかと思います。
電子制御のない時代に、一般ライダーがワインディングや高速道路を走って、百回走って百回無事に帰ってくる。
そう考えると、100馬力という線引きは、単なるつまらない規制ではなく、安全マージンの一つだったのかもしれません。
今は時代が変わりました。
フルパワーに近い高性能な大型バイクが、国内正規車として普通に買える時代です。
その代わり、トラクションコントロール、ABS、ライディングモード、IMUなど、電子制御が大きく進化しました。
昔は、馬力を削って安全マージンを作る時代。
今は、馬力を出したまま電子制御で安全マージンを作る時代。
もちろん、フレーム、サスペンション、タイヤも大きく進化しています。
今の大型バイクは本当に扱いやすいです。
大型免許を取ったばかりの方でも、昔よりずっと乗りやすいと思います。
でも、ここが大事です。
扱いやすいことと、危なくないことは別です。
電子制御は助けてくれます。
でも、物理法則を消してくれるわけではありません。
進入速度が高すぎれば曲がりません。
ブレーキをかける距離が足りなければ止まりません。
タイヤのグリップを超えれば滑ります。
昔のバイクは、雑な操作をするとすぐに叱ってくれました。
今のバイクは、雑な操作を黙って助けてくれます。
これ、実はかなり怖いことだと思うんです。
昔はミスすると「危ない!」がすぐ伝わった。
でも今は、電子制御が自然に助けてくれるぶん、自分の限界や危険に気づきにくい。
だからこそ、今のライダーには、
「助けられていることに気づく力」
が必要なのだと思います。
今の大型バイクは優しい。
でも、その優しさに甘えすぎてはいけない。
怖くないから安全なのではなく、
バイクが助けてくれているからこそ、こちらも丁寧に扱う。
昔の大型バイクは、怒らせないように乗る必要がありました。
今の大型バイクは、助けてくれるからこそ、甘えすぎないことが大切だと思います。
正直、皆さんはどちらが怖いですか?
「乗り手をすぐ叱る昔の大型」
それとも
「黙って助けてくれる今の大型」
限定解除世代の方の体験談も、ぜひ聞いてみたいです。